前回に続き、時代を超えて美しさや魅力を保つことの2つの面のうち、
- (2)経年変化によって本来の魅力とは変わりながらも、その過程で評価された新たな魅力や、後に付加した価値も含めた価値が持続し続けること。
この(2)を考慮した修景は、外観の画一的な整理を目的とした一定のルールによる改修の方法を採用しません。
そのように、様式の統一感による魅力を作るのではなく、個々の建造物に長年親しまれ、受け継がれ、付け足され、淘汰されてきた価値や魅力を、まずは評価、選択し、余分なものを消去していくことで、もとあった個性を浮かび上がらせていきます。
そしてそのなかにこれから先も人々に魅力を与え続けていく可能性のあるものを見いだし、それに今の時代の知恵の総集を付け加えるという操作を行うことで、時代を超えて時間に耐える修景を進めていきます。
豊かな生活環境を創造したいという多くの市民の願いと、修景という創造への期待が一致した理想のまちづくりを実現するため、(2)を念頭に、時代を超えても魅力あるまちを創り続けていくという気概をもち、建物だけにとどまらず一石一木にいたるまで細やかな配慮を行き渡らせた修景が求められます。
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