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2016年6月6日月曜日
個性と伝統を生かす街と建物のリノベーション(13)-創造的修景を考える-
創造的修景について述べてきたこのシリーズは今回で終了します。
最後に創造的修景のもつ意味を改めて述べながら、その目的とするところを示して、まとめといたします。
創造的修景とは創造と修景という二つの一見矛盾するフレーズを一つの言葉として考えます。
そのような曖昧さとか矛盾を内に抱きながらも成立する概念は、日本的感性のひとつの集約ともいえる茶の世界にも生きています。
すなわち、絢爛豪華、また高度に洗練された美を尊ぶ美意識と、時を経ることや多様な手法のコラボレーションがもたらす枯淡な美を楽しむ美意識のどちらの価値観も茶の世界は併せ持っています。
「ONE for ALL,ALL for ONE」という言葉があります。
それぞれが個を主張している多様なあり方と、全体として統一感や連帯感を持つ状態とは、言葉のうえでは矛盾する状態と言えます。
しかしそれらを併せ持たせる価値観があり、その価値観に基づいた創造的修景の手法を用いることで、豊かな景観環境が実現可能であることはこれまで述べてきた通りです。
政府のある調査では人々の関心が物質的豊かさより、心の豊かさを重視する傾向にあることを示し、また同じ調査で、人とのつながりは生活満足度を高めるとも伝えています。
来訪者をもてなす住み手の心をしつらえに表現すること。
受け継がれてきたものの中にある、これからも魅力を持ち続ける価値に新しい創造を加えること。
これら創造的修景の手法が、人のつながりをつくり、心の豊かさを高めるツールとして、各地の修景に役立つことを願います。
第12回<<
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