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2016年5月6日金曜日

個性と伝統を生かす街と建物のリノベーション(6)-創造的修景を考える-

修景に関わる際に大切な二つの考え方についてお話しています。

一、伝統・風土など地域の特性を生かすということ
ニ、個性を生かすということ


今回は、地域の景観を考える際の大切な思考方法について、
「ニ、伝統・風土など地域の特性を生かす」という観点から、彦根城周辺での修景事例を題材にお話します。

彦根市全域の景観は大きく次の3つのゾーンに分けて性格づけられています。

  • (1)山なみ景観
  • (2)市街地景観
  • (3)田園集落景観

彦根城周辺は(2)に属し、歴史景観と地域中心景観の核として、重点的に整備されようとしている場所です。

この地域は基本的には江戸期に形成された都市の性格を継承しながらも、後年に付加された優れた建造物なども含め、一帯として歴史的景観として評価されています。

また、まちなみや建築物だけでなく、彦根城の植物の生態系に目を向けてみると、築城以来400年のあいだに形成された植生は、築城後植えられたものを交えて先人の手によって淘汰されてきた結果、現在成熟した様相を呈するものとなっています。

城周辺の景観が江戸期以降の建造物を含めて歴史的景観であると評価されていること。城の植生が淘汰された結果としてげン剤成熟した様相を呈していること。

この2つの状態は、地域の景観を考える際の大切な考え方を示唆しています。

それは、新たに付加されたもので後の評価に耐えていくものは、その先の時代も継続的に魅力を与え続けてゆく可能性を持っているということです。

つまり、受け継がれてきた価値の正しい理解と選択によって付加されてきたものは、次代の優れた価値を創り出していく礎になるDNAを有しているということです。
 
この地域での景観形成手法の例を下記に示します。


 ・たねや美濠の舎 
この地に古くから残る桜の木を取り込んで景観形成を行っている。






 




・ポム・ダムール
周辺のなごりを手を加えて残し、さらに新しいものを創造する。




 





・スミス記念礼拝堂周辺整備への提案
構造物と植生との調和を図る








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